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ノンフィクション体験記


15.病院の駐車場


車に乗っていると出先で駐車する時、駐車場を探すのに苦労する事がある。
有料駐車場が確保されていたり、有料でなくてもちゃんと止められる場所のある場合
は良いのですが、なかなか大変な場合がある。

人が沢山やってくるスーパー等では駐車スペースを確保するのに、車で並んで駐車待
ちのためにかなりの時間も要してしまいます。

病院へ診察に行く時にも時間帯によっては駐車スペースを探すのに予約時間も気にな
ってしまうものです。私の親父が入院していた時にも見舞いの時間になるべく駐車場
の開いている時間帯を狙って出かけたものでした。

幸いにも私の場合は病院以外にも殆どの場合、目的地での駐車ができるので、まるで
周りからは私には駐車場の神様が付いているとまで言われた事があります。

その親父の入院していた病院では駐車場が狭くて、いつも満車のカードが掲げてあっ
た記憶があります。そんな時にも私には駐車場の神様が付いているらしく、ある場所
へ行くと必ず私が駐車できる場所で、車1台分泊められたのです。

親父が入院中、何か月もの間、数十回車を止める事が可能でした。

そんな日々が続き、親父の体調もなかなか回復せず衰弱し、ある日の事病院から
親族に来てほしいと緊急に連絡が入りました。我が家から15分程度だったので
その日も車で病院へ向かい、いつもの様に私が止めるなら間違いなく駐車の出来る
スペースへと車を止めていたのです。

その晩のうちに親父は帰らぬ人となり、親族は哀しみのうちに親父を引き取る事と
なったのです。病院で親父の主治医との話を聞いていた時の事です。
病院での院内放送が行われ、よく聞いていると私の車のナンバーが呼び出された
のです。

どうやら私が車を駐車したスペースに車が止まるらしく、直ぐに移動して下さいとの
事でした。私はあわてて車に戻り、移動する事になったのですが、駐車場の管理人の
話によると、先ほど病院で患者さんが亡くなり、霊柩車の出入りする駐車場に私の車
があるので霊柩車が入らないと言うのです。

恐る恐る行ってみると、私がいつも空いている駐車場なので車を止めていた場所は、
どうやら霊柩車専用のスペースだったのです。そういえばそこから病室への近道を利
用する時にいつも気になっていた部屋の横を通過していたのです。
今回、親父が亡くなって初めて気になっていた部屋が、霊安室だという事に気が付
いたのです。





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