私の母親には少し霊感がありました。 盆や彼岸が近づくと、今まで聞いた事のない音を二人で聞いた事もありました。 最初の内は仏壇で勝手に鈴がなったりした時にはびっくりしましたが、母親も私も慣れて来て、「仏様が来たよー」 等と言っていたものでした。 とは言っても、母親はそうでもなかったのですが、私は子供の頃からとても怖がりで、見てはいけない物が見えてしまったり、聞いてしまったりした時には、何度も身の毛のよだつ思いをして来たものです。 母親が生存している時にはこれからの事、死後の事を何度も確認して話す事が出来たのです。人工呼吸器とか心臓マッサージは施すのかとか、臨終時にはどうして欲しいとか、様々な話は生存中に出来たのです。 ただ、私からの望みと言えば、忙しい時には亡くならないで欲しいという事と、例え家族であっても、私自身が怖がりであるので、亡くなった後に出てくるのだけはやめて欲しいと希望したものです。もし、用事があれば私から天界へと覗きに行くのでそれだけはやめて欲しいと、生きているうちにしっかりと伝えておきました。 やがて母親が亡くなり、通夜の晩ですが、今では葬儀社で家族と仏様が一緒に泊る事が出来るのですね。私の姉弟は平気で泊る事が出来るのですが、私はなぜか一睡もできなかったのです。特に葬儀社で何かがあったわけではないのですが・・・ 無事に葬儀が終わり、家に帰ってきました。その晩の出来事です。 寝ていると夜中に廊下で誰かの声がするのです。母親が出てくるのには亡くなったばかりなので早すぎるし、それも二人で話している声なのです。もちろん家には私しか住んでいませんし、何者かが葬儀の間に忍び込んだのではないかと、色々と部屋を調べても誰もいないのです。 気を取り戻して寝室へ行き、寝ようとしたらまた話し声が聞こえるのです。時計を見るとその様な時間にふさわしく、まさに丑三つ時、2時30分頃だったのです。もう何となく薄気味悪くて寝る事ができません。結局目が覚めてしまったままだったのですが、4時頃になってくると、廊下での話し声は聞こえなくなりました。 次の夜も前日と同じ様に寝ていると、2時30分頃になってまた、廊下で話し声が聞こえてくるのです。耳を澄ませて聞いているとどうやら女性の声なのです。どうしてこんな事が起きるのか、静かに目をつむって確認したところ、どうやら葬儀からの帰りに霊体がわが家に3体やって来てしまったらしいのです。よく見ると女性の霊体が2体、男性の霊体が1体、葬儀場から付いて来てしまったらしいのです。この日も4時頃になり霊達の話し声は聞こえなくなったのです。 母親の葬儀が済んで3日目の夜になっても、廊下での話し声は相変わらず丑三つ時に聞こえて来たのです。男の霊はただ静かに見守っているだけだったのですが、女性の霊達が毎晩騒がしくしていたのです。私はさすがに薄気味悪いので、3日目の晩に思い切って霊達に大きな声で言ってやったのです。 「うるさくて寝られないから帰ってくれ――」 と その後4日目には彼らは帰って行き、静かになったのですが、何とも怖くて嫌な3日間でした。これも葬儀場にて故人と最後に泊まれるからと言い、泊ってしまったが為に霊媒体質の私にとっては辛い思いをしたものでした。 |
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