
ある霊能者10(地元で有名なフカン様)
私がまだ修行の途中だった頃ある別の霊能者と一緒にフカン様のところへ訪れた事があります。
フカン様は地元はもちろんのこと修行している人たちの間ではとても有名な人で控えめな老人なのです。
木曾の御嶽山で修行されたと言うことで話が始まりその日は修行中での面白い話をしてくれました。
ある修行中の人がどこかで神と接触できないものかと色々と友人に相談していたと言うのです。
友人は頼まれては見たものの考えたあげくいちばん手っ取り早いのが稲荷の神様ならキツネが眷属だから
キツネの好きなものをいつも持っていると良いのではと思い修行中の彼にキツネの好きな油揚げを
腰に下げて旅をするように勧めたそうです。
彼は来る日も来る日も腰に油揚げを下げて歩いていたそうです。しかし一向に神と接触する事が出来なく
同じ道を何度も何度も歩いたそうです。5里行っては5里戻り、10里行っては10里戻ると言うふうに
歩き続けたというのです。結局長い間油揚げを腰に下げたまま歩き疲れ神に会う事ができなかったというのです。
ところが修行していた時の事など忘れてしまっていたある日のこと彼は困った事が何度も続くのでとうとう宗教に
入会してしまったと言うのです。そんなある日のこと教祖様の話を聞く日が来て本道に入り、とりあえず神前で
お祈りをしようとしていたらしいのです。すると彼は突然神がかり我を失ってしまったそうです。
幾日もかけ修行に励んでは見たものの神と接することなく、ところが本堂の前ではすぐに神がかったという
事から彼にとって見ると油揚げを腰に下げて歩いていたのが本当の意味での修行だったのかも知れないのです。
ある霊能者へ
